一方、丘の上の呪術師は、めっきりと人に会う機会が減った。
普段は仮面を誂え魔よけとしてあげたり、病気のものを手厚く看病したり、村に尽くした人気者。
しかし鬼女がきてからというもの呪術師の他の追随を許さない他の人とは違う能力に村の人たちは
尊敬はするものの恐れを抱くようになり遠くへ遠くへと鬼女の箱よりもさらに遠い森の奥へと
追いやられた。

 何故今になって私を追いやるのか、何故私を恐れるのか。
今まで村人たちの支えでもあったと思っていた呪術師は
思い悩んだが疑問は疑問のまま、呪術師はある不安を抱えることになった。
呪術師は全てにおいて完璧だった。
彼は人を助けずにはいられない性格だった。
彼には村のことはなんでもお見通しであった。
ある日、呪術師のもとに女たちがこぞって集まり鬼女の始末したいと願い出た。
いつも明るく健気な女たちからでたおぞましい言葉に呪術師も焦ってなんとか取止めさせようと
説得するものの女たちは呪術師の言うことをこれっぽっちも聞き入れず夫への不満と鬼女への嫉妬
を吐露するだけして帰って言った。

呪術師は、鬼女を心底心配した。
呪術師は誰にも見つからぬよう、姿を消す呪込めた仮面をつけて鬼女に会いに行った。