僕の酸素

 

腐りかけたウッドハウス。
ある少年が建てたウッドハウス。
ある少年が幸せを望んで建てたウッドハウス。

 

それはこの森の幸せの象徴。


今ではそんな幸せを物語る軌跡は何一つ無い。
そのかわり、一人の少年が住みつくようになった。


*神様は僕に背を向けた。
面白くないから神様を殺した。
でも世界は変わらない。
僕も全く幸せじゃない。

繰り返し、残酷な歌を歌う少年。
腐りかけたウッドハウスの中で。
*太った男と痩せた男がレストランでディナー
帰りは痩せた男が太った骨を舐めて帰った。

忌々しい歌声は森に響く。不快異常な少年の詩。
鳥の囁く声は中傷と非難。
木々のざわめきは警戒と不安。
でも少年は人気者。
彼の家にはたくさんのトモダチがいる。
あるとき一人の少女が森に迷い込む。
少女は泣きじゃくりながら歩く。
しかし、歩きつかれて湿った草木の傍で立ち往生。

少年はいつものように森を徘徊。
そして出会ったのが迷い込んだ少女。

金色の長い髪の毛に青い瞳は人形のような美しさ。
少年は心を奪われた。
そしてその美しさを独り占めしたくなった。
少年は少女を家に誘う。

「今日は僕の家で休むといい」
少女は頷き、その優しい誘いに喜んだ。

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あぁ、それはいけない。それはいけない。

ざわめく木はなんの役に立っただろう。
それは、よりいっそう森を不気味に変えた。
そして少女は少年にしがみつく。まさに少年の思うつぼ。
少女が招かれたのは腐りかけたウッドハウス。
そこにいるのはたくさんのトモダチ。

招かれた少女はトモダチに悲鳴をあげて逃げようとする。
しかし時すでに遅し。
ぐるりぐるりと回る視界。
最後に見た景色は息をしない人々の山。

少女の金色の髪が地に落ちた。


これが少女の最期。少年は少女を抱きしめて呪われし愛を囁いた。
ウッドハウス、ウッドハウス。
ここは夢の城、僕の城。
ここにはたくさんのトモダチがいる。
寂しくなんか無い。
この城の酸素は僕が独り占め。
全てすべて僕のもの。

森の中からそんな歌が聞こえた。

これでお話はおしまい。

 

Fin…?

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