これは昔々のお話です

 

あるところに、親に捨てられた双子がいた。

森に捨てられた双子の兄弟。

大変似ていてだれも彼らの見分けがつかない。

 

兄は人の未来を知り、弟は人の過去を知る。

彼らの父は彼らを愛した。彼らの母は彼らを憎み恥じらい命を絶った。

かわいそうな不吉な悪魔、悪魔の悪戯、偶然の産物。言われは其々。

哀れな愛しい、フリークス。

どちらかが死ねば片割れは人間になるというのに、誰も彼らを殺さない。

もちろん双子も自分の分身を殺すことは無い。

双子は仲良し、いつまでも、いつまでも。

森の中はいたるところに紙くずだらけ。

双子はそれを掃除する。

――――あぁ、ここにも人がいる。

それは昔の王の軌跡。

双子は紙くずを毎日集める。気に入った絵があれば拾って

今はもう、腐りきったウッドハウスに飾っている。

 

そんなある日の出来事です。

双子の兄は赤い靴を発見する。

双子の弟は片足を発見する。その傍らには少女の首。

双子の兄弟は腐った家に持ち帰り、じっと観察。

片足は、まだ生きている。少女の首も美しい。

双子は少し考える。

どこかで、聞いたこの人たち。

けれど双子は思い出せない。

 

思い出せるまで双子は少女の首と片足を家族にした。

世にも珍しい家族をピエロは見逃すことはなかった。

昔懐かしい、あのウッドハウス。

ピエロは笑う。たくさんの風船をもって。

そしてドアをノックする。壊さぬよう、静かに静かに。

双子の弟が、ドアを開ける。

―――――――こんにちは。ふたごさん。

ピエロは笑う。これは愛想。

双子の弟はピエロを見て嫌な顔をした。ちゃんと双子は覚えている。

最後の最後の父親の言葉を。

 

―――さようなら、双子たち。決してピエロに近づいてはいけないよ

 

たくさんの風船を片手に持って、二つの七色の風船を双子に渡す。

双子はピエロを拒否した。ピエロは笑う。

―――――――えんりょしちゃいけない。えんりょはだめ。

そういってピエロはまた笑った。気味の悪いピエロ。

そのとき、双子には何かが見えた。

このピエロの過去と未来。

双子はにやりと微笑んだ。

――――さようなら、風船ピエロ。

双子は斧でピエロを滅多刺し。

ほんとはその辺に投げ出すところを双子はお腹が減っていた。

後はご想像通り。

腐ったウッドハウスの門前に、萎んだ風船と真っ赤な赤い鼻が捨てられた。

双子と片足と少女の首はこの腐ったウッドハウスで幸せに暮らした。

 

これでお話はおしまい。

 

双子は片足を不思議がった。

何故生きているのかと。

その問いに片足が答えられるはずも無い。

しかし双子の不思議な力、片足の求める何かを悟る。

ついに片足は求めるモノに出会えると信じた。

しかし、そんな矢先に招かれざる訪問客。

 

―――――よくもこんなヒドイことをしてくれた!

 

怒れる黒帽子の男が目の前に、大きな鎌を持っている。

逃げ惑う双子、しかしその先に見えたのは暗い暗い闇の中…――――。

 

片足は、何かを求めてる。

しかし、諦めてしまったのかもしれない。

 

Fin…?

Back?