これは昔々のお話です。

 

一人の王子がおりました。

赤い髪、赤い目と金の目を持つ生まれながらの王子さま。


いつも王子は一人ぼっち。

たくさんのキャンパスに絵の具をたらす。

そして人の形をたくさん描く。

 

一人ぼっちの王子さま。

キャンパスにたくさんのトモダチをつくった。

でも王子は満足しない。

 

だって何も話さない。

語りかけても返事が来ない。

誰も、話を聞いてくれない。

 

至極退屈な王子さま。

ついにはお城を抜け出し森へと駆け出す。

 

何も知らない王子さま。

暗いくらい森の中でたった1人でトモダチ探す。

そしてみつけた可愛い可愛い少女の首。

それから傍には赤い靴を履いた片足が・・・―――――。

 

王子は少女を気に入った。

それから、赤い靴を履いた片足も。

だからお城にもちかえった。

小さな体で、少女の首と片足は王子に少し重すぎた。

王子は気づかなかった、片足の靴を落としたことに。

 

お城に帰ると、お妃さまが怒り狂う。

――――こんな気味の悪いもの、捨ててしまわねば呪われます。

王子から首と片足をとりあげて、妃の命令で従者がもとあった森の中まで捨てに言った。

 

かわいそうな王子さま、せっかくのトモダチ取り上げられた。

ひとりぼっちの王子さま。

今日は何して遊ぼうか。

 

毎日、毎日、毎日、毎日。

やることは決まっている。

 

たくさんのキャンパスに人の形をかいてトモダチを作る。

そして森の中へと飛ばしていく。

かわいそうな森の中の少女と片足が寂しくないように。

王子のトモダチを森へと飛ばす。

いつまでも、いつまでも、トモダチを贈り続けたとさ。

これでお話はおしまい。

その後のお話。

王子は王となり、王は双子の父となる。

可愛い可愛い、フリークス。

同じ顔した、フリークス。

王の妃はそれみて自殺。

なんとあっけない妃の死、のろわれた妃の死。

王は全然悲しまない。

 

それからというもの、王は双子を愛するようになった。

しかし、側近たちはそれを許さない。

仕方がないので王は双子を森の中へと幽閉するという。

 

トモダチだらけの森の中、少女の首と片足のいるあの森へ。

王は双子に秘密を教える。

こうして双子は森の中へと幽閉される。

―――さようなら、双子たち。決してピエロに近づいてはいけないよ。
それは双子に向けた、王の優しき最期の言葉。

双子が幽閉された後、王は気が触れギロチン処刑。
ひとりぼっちの王さまのあわれな姿に好奇の視線。

誰も王の死を悲しまない。

トモダチだらけの森の中。

それでも片足は満足しない。片足は何かをまだ求めている。

 

さてなにを?

 

Fin…?

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